浄化槽についてのQ&A |
Q11. BODってなに?
Q15. ブロアーの電源は切っても良いですか?
Q16. 浄化槽とはどういうものですか?
Q17. 浄化槽で汚水がきれいになるのですか?
A1.浄化槽は生きています。浄化槽は、台所や風呂、洗濯などの生活雑排水やし尿を槽内に運び、バクテリア(微生物) の働きにより分解処理し、上澄みの水を消毒した後、槽外へ排出するしくみのものです。
A2.市販のJIS規格のトイレットペーパーであれば、再生紙でももちろんかまいません。しかし、その他の上やおむつなどは流さないでください。また、ペーパーを多量に使いすぎますと、汚泥の量が短い期間で多くなり、清掃の間隔を狭めることになります。
A3.微生物の格好の住まいである浄化槽も限られたスペースですから、おのずと能力の限界があります。家庭用の小型 合併処理浄化槽は台所のゴミをすべて引き受けるように作られてはいません。台所から出る魚のアラ、野菜のくず、 食べかすなどはできるだけ流さないようにしましょう。
A4.食用油は決して流さないようにしてください。廃油は台所のパイプが詰まる原因にもなりますし、浄化槽の微生物 には手に負えない代物です。
A5.市販のトイレ用洗剤であれば、たいていのものは問題ありません。落ちにくい時だけ、中性洗剤を用い、洗剤の使用量は必要以上に多量に使わないようにしましょう。
A6.塩酸などの強酸やクレゾールなどの消毒薬、防腐剤、庭の花木の殺虫剤などは生活排水として絶対に流さないでください。合併処理浄化槽は、生きている微生物の働きを利用して汚物を浄化しています。それらが合併処理浄化槽に入ると、浄化槽の中で働く微生物が全滅したり、弱ったりして、浄化できなくなり、汚物が分解されなくなります。
A7.洗剤やカビ落とし剤は、使用方法の誤りがなければ影響がないと思われます。しかし、塩酸などの洗剤は、大切な微生物が死んでしまうことがありますので十分注意して下さい。汚れの少ないうちに、早めにぬるま湯などで洗いましょう。
A8.石油類を流してはいけません。石油を大量に流したり、農薬や消毒剤を流して、浄化槽が全く機能しなくなったときは、やがて悪臭が出て異常事態に気がつくことになります。その際は浄化槽の臨時の清掃が必要となります。
A9.トイレの洗剤を多量に使用したとき、常時医薬品を服用されているときなどの原因が考えられます。トイレの洗剤が原因と考えられる場合には、直ちに使用を止めて下さい。
A10.水洗便所の水はおおむね、大便の時15リットル、小便の際には5リットルになっています。トイレの洗浄水は十 分流す必要がありますが、必要以上に流すことはありません。また、音消しのためのトイレの使用前後の水使用もできれば控えたいものです。水の使用が多すぎると合併処理浄化槽の能力低下につながりますし、水道代もばかになりません。
A11.水中の有機物が微生物の働きで分解されるとき、酸素が消費されます。それを指標としたもので多量の有機物があるとき(汚れがひどいとき)には酸素は多量に消費されます。すなわちBODの値が大きいということは、汚れた水であると言えます。そして生活環境(周辺水域)を汚すのは、し尿の放流水だけでなく家庭排水も大きな汚染源因です。
A12.バクテリアや原生動物などの微生物は、浄化槽の中で汚物(有機物)を食べて汚水を浄化します。微生物の中には空気を必要とするものと、必要としないものがありますが、これらの微生物のそれぞれが働きやすいように環境を整えてやることが大切なことです。
A13.浄化槽の使用状況、水温などにより、早く溶解することがありますが、保守点検業者の作業項目の一つに、消毒薬の残量確認と消毒薬の補充を行っていますので、安心してください。
A14.上部に物を置きますと通常の機器の点検、調整や故障時の作業が出来にくくなりますので避けて下さい。
A15.ブロアーは浄化槽内の微生物に空気を与えたり、水を撹拌する働きをしております。電源を切ると微生物が死んでしまうため、汚水が浄化されず悪臭を発生し、汚水がそのまま流れ出たりしますので、電源は切らないで下さい。
A16.便所が水洗になっている場合、使用後に流される汚水は、 (1)下水道に流されるか、(2)農業集落排水処理施設に流されるか、(3)浄化槽に流されるか、この3つのうちのどれかになります。そして汚水は、それぞれのところで処理されて河川などに放流されています。 (3)の浄化槽は、微生物の働きなどを利用して汚水を浄化し、きれいな水にして放流するための装置ですが、各家庭の敷地内に設けられていて、最も身近な汚水処理施設です。以前は水洗トイレからの汚水だけを処埋する単独処理浄化槽を設置出来ましたが、現在(平成13年4月以降)は、下水道予定処理区域(7年以内に下水道が供用開始になる区域)以外では、水洗トイレからの汚水と、台所排水、浴室排水、洗濯排水など(これらを生活雑排水といいます)を一緒に処理する合併処理浄化槽でなければ設置できないことになっています。 なお、浄化槽を規制する法律として「浄化槽法」という法律があり、様々なことが定められています。
A17.水の汚れの原因となるものには、汚水中の固形物と水中に溶け込んでいる有機物質(溶解性物質)とがあります。固形物は沈殿・浮上させることで分離したり、ろ材等でこしたりします。溶解性物質は微生物などの働きで除去します。 浄化槽には種々の処理方式がありますが、ここでは、家庭に設置される合併処理浄化槽でよく用いられている嫌気ろ床接触ばっ気方式(嫌気ろ床槽、接触ばっ気槽、沈殿槽、消毒槽から構成されています)を例にとって浄化の仕組みを説明します。 汚水は、まず嫌気ろ床槽(第1室)に入り、固形物を取り除くとともに「ろ材」についた嫌気性微生物(酸素のないところで働く微生物)が溶解性物質を除去します。つづいて、もう一つの嫌気ろ床槽(第2室)を通り、同じ処理を繰り返してから、接触ばっ気槽に入ります。ここでは、接触材の表面についた好気性微生物(酸素のあるところで働く微生物)がブロワーから送り込まれる空気の助けを借りて、溶解性物質を食べながら(除去しながら)成長します。次に沈殿槽に送り込まれ、汚れの原因である溶解性物質を食べて成長した微生物のかたまりである汚泥を沈殿させます。最後にきれいになった処理水を塩素剤で消毒してから放流します。
A18.浄化槽は毎年20~30万基設置され、平成15年3月末現在の全国の設置基数は約880万基に達しています。そして、下水道と共にわが国の水洗化人口を担っており、私たちの生活の中に根ざした、なくてはならない存在となっています。このように浄化槽が普及している今日、さらに住みよい暮らし、美しい環境を守るためにも私たちは浄化槽を適正に設置し、管理していかなければなりません。 このため、昭和58年5月に浄化槽法が制定されました。浄化槽法では、浄化槽の製造、施工、保守点検、清掃などがきちんと行われるよう技術上の基準を定めて規制したり、浄化槽関係の事業に従事する関係業者の責任を明確にしたり、資格制度を定めたりしているほか、浄化槽の使用者に対しても正しく使用するよう義務づけています。 浄化槽法に定められていることは、次のようなことです。
(1) 浄化槽の製造 浄化槽を工場で生産しようとするメーカーは国土交通大臣の認定(型式認定制度)を受けなければ製造することが出来ないことになっています。この認定を受けるには、浄化槽の構造や容量のほか、強度についてもチェックを受けることになっています。また、工場から出荷するときには水洩れがないかどうかなどの検査を行っています。
(2) 浄化槽設置の届出 浄化槽を設置しようとする場合には、都道府県知事(保健所を設置する市又は特別区では市長又は区長)に届け出ること、また、都道府県知事(保健所を設置する市又は特別区では市長又は区長)を経由して特定行政庁に届け出ることが義務づけられています。実際の届け出の受理は保健所が行っていることが多いようです。 なお、住宅を新築する際など建築確認申請を行う場合には、建築確認申請書に浄化槽の仕様書等を添付して建築主事の確認を受けることになります。
(3) 浄化槽の工事と浄化槽設備士制度 浄化槽の工事は、都道府県知事の登録を受けた浄化槽工事業者か又は土木工事業者、建築工事業者、管工事業者であって届出を行った業者が行うことになり、その工事は環境省令・国土交通省令で定めている「浄化槽工事の技術上の基準」に従って行わなければなりません。 また、実際に工事を行うときは、浄化槽設備士という国家資格を持っている者が工事を行うか又はその監督のもとに行われます。
(4) 浄化槽の使用開始報告 浄化槽管理者は、浄化槽の使用を開始してから30日以内に使用開始報告書を都道府県知事(保健所を設置する市又は特別区では市長又は区長)に提出しなければなりません。
(5) 浄化槽の使用に関する準則 浄化槽の正常な機能を維持するために浄化槽使用者が守るべきこととして、「浄化槽の使用に関する準則」が定められています。
(6) 浄化槽の保守点検と浄化槽管理士制度 浄化槽管理者(持ち主)は、環境省令で規定している浄化槽の「保守点検の技術上の基準」に従って、定期的に保守点検を行わなければなりません。しかし、浄化槽の保守点検を行うためには専門的な知識、技術が必要ですので、浄化槽管理者が自ら保守点検を行わなくても都道府県知事(保健所を設置する市又は特別区では市長又は区長)の登録を受けた保守点検業者に委託することができることとされています(保守点検業の登録制度が設けられていない横浜市と大阪市では、浄化槽管理士に委託することができます。)。 保守点検業の登録を受けた会社には国家資格者である浄化槽管理士がおり、保守点検業務は浄化槽管理士が行います。 浄化槽の保守点検の回数は、いろいろな方式(種類)によって年3回以上とか4回以上とか定められています。
(7) 浄化槽の清掃 浄化槽管理者は、環境省令で定める「清掃の技術上の基準」に従って、浄化槽の清掃を定期的に行わなければなりません。しかし、保守点検と同様、浄化槽の清掃を行うためには専門の知識や技術が必要ですので、市町村長の許可を受けた浄化槽清掃業者に委託することができるとされています。浄化槽の清掃の回数は毎年1回(全ばっき方式の浄化槽については、おおむね6ケ月ごとに1回以上)とされています。
(8) 浄化槽の定期検査制度等 ア. 使用開始後の水質に関する検査(7条検査) 浄化槽管理者は使用開始後6ケ月を経過した日から2ケ月間に、都道府県知事の指定する指定検査機関が行う水質に関する検査を受けなければなりません。この検査は主として浄化槽が適正に設置されているか否かを判断するための検査で、受検の手続きは、その浄化槽を設置する浄化槽工事業者に委託することができることになっています。 イ. 定期検査(11条検査) 浄化槽管理者は、毎年1回、前述の指定検査機関の水質検査を受けなければなりません。この検査は主として保守点検及び清掃が適正に実施されているか否かを判断するための検査で、受検の手続きは、その浄化槽の保守点検又は清掃を行う者に委託することができることになっています。
A19.浄化槽は、主に微生物の働きによって生活排水をきれいにする装置です。正しく機能させるためには、正しい使用をしなくてはなりません。そのために、次の注意はぜひ守りましょう。 (1) 浄化槽のブロワー電源を切らないでください。 浄化槽の中には汚水をきれいにする働きをする微生物がいます。もし、電源を切って浄化槽に空気が送られなくなると、その微生物が活動できなくなったり、死滅したりして、汚水をきれいにできなくなります。 (2) 紙おむつや生理用品を流さないでください 水に溶けにくいものを浄化槽に流すと、詰まったりして故障の原因となります。 (3) 食用油や野菜くず、食べ残したものなどを、流さないでください。 油や食べ残しなどを直接流すと浄化槽に能力以上の負担をかけることがあり、放流水が汚くなったり、故障したりすることがあります。日頃から浄化槽に関心を持ち、放流水が汚かったり、悪臭がするなどの異常を発見したときは、すぐに浄化槽維持管理会社にお知らせてください。
A20.浄化槽に入ってくる生活排水をきれいに浄化するために働いているのは微生物ですから、微生物にうまく働いてもらうためには浄化槽の使い方や管理がとても大切です。浄化槽の維持管理は保守点検、清掃、検査ということになりますが、このいずれか一つでも適正に行われなければ、浄化槽の性能を100%発揮することはできません。 浄化槽の保守点検は浄化槽の正常な機能を維持するため、浄化槽の点検、調整又はこれらに伴う修理をする作業です。 浄化槽の清掃は浄化槽の運転に伴って必然的に発生する汚泥、スカム等を槽外に引き出し、その引き出し後の槽内の汚泥等を調整し、その際、これらの作業に伴う単位装置や付属機器類の洗浄、清掃等を行う作業です。浄化槽を浄化槽管理者が自ら維持管理するうえで、専門的・技術的に難しいことも多いので、専門業者(保守点検は保守点検業者又は浄化槽管理士、清掃は清掃業者)に委託して行うことになります。一方、浄化槽管理者に義務づけられている年1回の定期検査(11条検査)は、浄化槽の保守点検や清掃などの維持管理が適正に行われているか否かを判断するもので、維持管理の一環として大変重要な検査です。この検査は都道府県が指定した検査機関に忘れずに依頼してください。